研究概要 |
主にシロイヌナズナを材料に用い,次のような研究を行った。 1.シロイヌナズナのRab5 GTPaseのうち,種を越えてよく保存されているタイプのARA7,RHA1の二重欠失変異体が雄性不稔となる原因について検討し,花粉の出芽・伸長過程に異常がある可能性を示唆した。また,そのグアニンヌクレオチド交換因子であるVPS9aとVPS9bのうち,前者は全ての器官・組織で,後者は花器官でのみ発現していることを示し,配偶体機能におけるこれらのRab5 GTPaseの重要性を示唆した。一方,植物特異的なRab5 GTPaseであるARA6についても解析を進め,ARA7/RHA1とARA6が,地上部の成長,花成,根の伸長などさまざまな機能において拮抗的に働くことを明らかにした。 2.Rab5 GTPaseが下流現象を引き起こす上で重要なエフェクター分子を,酵母2ハイブリッド法を用いて探索した。ARA7/RHA1とARA6とで全く異なるエフェクター候補が得られ,異なるエンドソームシグナリングを介して拮抗的な機能を果たしている可能性を示唆した。 3.シロイナズナのゴルジ体のシス領域とトランス領域を異なる蛍光タンパク質で標識し,ライブイメージングを行うことによって,ゴルジ体のユニット間でダイナミックな膜のやり取りがあること,チューブ状の構造が頻繁に形成されることなどを明らかにした。また,そのようなチューブ構造の形成と維持に異常を示す突然変異体を単離した。
|