研究課題/領域番号 |
15080209
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
阿部 訓也 独立行政法人理化学研究所, 動物変異動態解析技術開発チーム, チームリーダー (40240915)
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研究分担者 |
清澤 秀孔 独立行政法人理化学研究所, 動物変異動態解析技術開発チーム, 開発研究員 (30295422)
三瀬 名丹 独立行政法人理化学研究所, 動物変異動態解析技術開発チーム, 開発研究員 (00360644)
鵜川 義弘 宮城教育大学, 環境教育実践研究センター, 教授 (20232803)
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キーワード | 始原生殖細胞 / 多能性幹細胞 / 遺伝子発現 / 生殖細胞 / DNAメチル化 / エピジェネティクス |
研究概要 |
哺乳類の初期胚には,将来成体のすべての細胞に分化する能力を持つ多分化能細胞が存在する。これらの胚性多能性細胞と始原生殖細胞(PGC)は発生学的にみて、類似した性質を持つことが示唆されており、両者の類似性、相違点を明確にすることはこれらの細胞で生じるゲノム再プログラム化や生殖細胞分化過程の解明に重要と考えられる。 我々は各発生段階のPGCを胚体から純化し、そのトランスクリプトーム解析を行った。また、immunosurgeryによって内部細胞塊(ICM)、およびエピブラストを単離し、その発現プロファイルを得て、PGCとの比較を行った。その結果、内部細胞塊からエピブラストに発生していく過程で大規模な遺伝子発現プロファイルの転換が見られること、多能性幹細胞であるES細胞やEG細胞は内部細胞塊よりもエピブラストに発現プロファイルが類似していること、原腸胚に出現した初期始原生殖細胞はエピブラストから派生すると考えられているが、その発現プロファイルはむしろエピブラストよりも内部細胞塊と共通性が高いことが明らかとなった。それと同時にそれぞれの細胞タイプ、あるいはPGC発生段階に特異的発現を示す遺伝子群を同定することができた。上述した各種細胞間の差次的遺伝子発現の基盤となるエピジェネティック状態の解析を行ったところ、ICMとPGCは共通してDNAメチル化レベルが低く、特にPGCでは、ヘテロクロマチン上のメチル化がほぼ消去されていた。対して、エピブラストではDNAメチル化レベルは概して高いが、興味深いことに、エピブラストの中には比較的低DNAメチル化状態を示す細胞集団が存在しており、この集団からPGCが派生してくることが示唆された。
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