研究課題/領域番号 |
15080212
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岡野 正樹 独立行政法人理化学研究所, 哺乳類エピジェネティクス研究チーム, チームリーダー (50360863)
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研究分担者 |
竹林 慎一郎 独立行政法人理化学研究所, 哺乳類エピジェネティクス研究チーム, 研究員 (50392022)
小田 昌朗 独立行政法人理化学研究所, 哺乳類エピジェネティクス研究チーム, 研究員 (10391905)
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キーワード | エピジェネティクス / DNAメチル化 / Dnmt3a / Dnmt3b / マウス / 胚発生 / 栄養外胚葉 / ES細胞 |
研究概要 |
DNAメチル化は、細胞分裂を超えて次の細胞世代に伝達しうる遺伝子発現制御機構、すなわちエピジェネティクス分子機構のひとつであり、細胞分化能の調節や組織特異的遺伝子発現の維持など、個体発生の多くの局面で重要な役割を果たすと考えられている。我々は、胚発生で特異的に制御されるDNAメチル化酵素Dnmt3aおよびDnmt3bの機能解析を行うことによって、胚発生および細胞分化におけるDNAメチル化の役割を明確にすることを目的としている。特に、我々は哺乳類胚発生最初の細胞分化である内部細胞塊-栄養外胚葉分化に着目して研究を進めている。本年度、我々は初期胚発生におけるDnmt3aおよびDnmt3bの標的遺伝子候補として、栄養外胚葉に強く発現するX染色体ホメオボックス遺伝子Psx1を同定した。詳細な解析の結果、Psx1は、非発現組織である内部細胞塊由来組織で高度にメチル化され、発現組織である栄養外胚葉由来組織では低メチル化となる、組織特異的メチル化遺伝子であることがわかった。胚盤胞およびDnmt3a/Dnmt3bノックアウトマウスの解析から、Psx1の組織特異的メチル化および組織特異的発現は、胚盤胞の着床後におけるDnmt3a/Dnmt3b依存的なde novoメチル化によって形成されることを明らかにした。さらに我々はPsx1遺伝子座周辺約0.7Mbにわたって、同様のDNAメチル化制御が起こっていることを発見した。これらの結果は、Dnmt3a/Dnmt3b依存的なDNAメチル化機構は高次クロマチン構造を調節することによって、遺伝子クラスターをドメインとして制御している可能性を示唆する。今後、Dnmt3a/Dnmt3bによる組織特異的メチル化調節、染色体ドメインレベルの制御機構の解析、およびDnmt3a/Dnmt3b標的遺伝子(群)のさらなる探索を計画している。
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