前駆細胞の時期から始原生殖細胞で特異的に発現するmil-1遺伝子の発現制御について、これまでに行ったトランスジェニックマウスを使った解析から、この遺伝子の転写開始点の上流領域、約2kbpの部分が始原生殖細胞に特異的な発現に重要であることが明らかになった。始原生殖細胞の分化過程ではDNAのメチル化状態が全ゲノム的に大きく変化することから、DNAメチル化がこの遺伝子の発現制御に係わる可能性を考えて解析を行った。発現制御に重要と思われる、転写開始点上流約2kbpに位置する約300bpの遺伝子領域には、メチル化を受けうるCpGの配列が6カ所存在する。mil-1遺伝子を発現しているES細胞と13.5日胚の生殖巣、発現していない13.5日胚の中腎を材料に、バイサルファイト法によりメチル化状態を調べた結果、これまでのところ中腎ではメチル化は検出されないが、mil-1遺伝子が発現しているES細胞と生殖巣ではわずかだがメチル化が見られた。現在、より詳細な解析を進めている。
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