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2005 年度 実績報告書

脂肪細胞の生理と病理における機能ゲノム研究

研究課題

研究課題/領域番号 15081210
研究機関神戸大学

研究代表者

小川 渉  神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40294219)

キーワードインスリン抵抗性 / 脂肪組織 / 糖尿病疾患感受性 / アディポサイトカイン / インターロイキン6
研究概要

ケモカインC10がマウス脂肪組織において高発現し、肥満誘導によってその発現が増加することを明らかとした。C10に構造上もっとも類似したヒトケモカイン遺伝子についてその遺伝子の多型性を検討したところ、4つのハプロタイプに分類されることが明らかとなった。2型糖尿病患者と健常対象者においてハプロタイプの頻度を検討した結果、ハプロタイプ3の出現頻度が糖尿病において対象の1.5倍となることが明らかとなった(頻度:糖尿病0.105、健常0.106,p=0.003)。すなわち、本遺伝子は2型糖尿病の疾患感受性を規定する遺伝子の一つであることが示唆された。また、ELISA系を確立し本ケモカインの血中濃度を検討した結果、血中濃度とインスリン抵抗性の指標や内臓脂肪量が逆相関することが明らかとなった。
IL-6は肥満に伴い脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの1種であり、肥満におけるインスリン抵抗性の発症に関与すると考えられている。高インスリン正常血糖クランプ解析の結果、IL-6を欠損するマウスはインスリンによる肝糖産生の抑制能が減弱することが明らかとなった。脳室内にインスリンを投与すると肝臓で」STAT3が活性化し糖産生が抑制される。ところが、IL-6を欠損するマウスでは脳室内インスリン投与による肝臓のSTAT3の活性化は阻害され、糖産生の抑制効果も減弱していた。また、脳室内インスリン投与により肝臓でのIL-6の産生は増加した。すなわち、中枢性のインスリン作用により肝臓でのIL-6の産生され、STAT3の活性化を促すことにより糖産生が抑制されることが明らかとなった。一方、肥満インスリン抵抗性マウスであるdb/dbマウスにIL-6の中和抗体を投与すると耐糖能が改善したことから、肝臓における一過性のIL-6の産生は生理的な糖代謝制御に重要な役割を果たすものの、肥満における慢性かつ全身性のIL-6の増加はインスリン抵抗性の発症に関わる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Chronic effects of AJ-9677 on energy expenditure and energy source utilization in rats.2005

    • 著者名/発表者名
      Sugimoto T
    • 雑誌名

      Eur J Pharmacol. 519・1-2

      ページ: 135-145

  • [雑誌論文] Compensatory recovery of liver mass by Akt-mediated hepatocellular hypertrophy in liver-specific STAT3-deficient mice.2005

    • 著者名/発表者名
      Haga S
    • 雑誌名

      J Hepatol. 43・5

      ページ: 799-807

  • [雑誌論文] Role of Kruppel-like factor 15 (KLF15) in transcriptional regulation of adipogenesis.2005

    • 著者名/発表者名
      Mori T
    • 雑誌名

      J Biol Chem. 280・13

      ページ: 12867-1285

  • [雑誌論文] Role of Kruppel-like factor 15 in PEPCK gene expression in the liver.2005

    • 著者名/発表者名
      Teshigawara K
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun. 327・3

      ページ: 920-926

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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