研究課題/領域番号 |
15081211
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
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研究分担者 |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90177254)
中田 正範 自治医科大学, 医学部, 講師 (10305120)
出崎 克也 自治医科大学, 医学部, 助手 (90337329)
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キーワード | レプチン / オレキシン / PACAP / 摂食中枢 / NPYニューロン / グレリン / インスリン分泌 / 肥満 |
研究概要 |
1)レプチン、オレキシン、PACAPによる摂食調節機構 視床下部弓状核NPYニューロンは摂食亢進、POMCニューロンは摂食抑制に重要な役割を担う。ラットから単離した弓状核ニューロンにおいて、細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)に対するホルモンの作用を測定し、抗NPY、POMC抗体を用いた免疫染色により細胞同定した。 オレキシン(摂食亢進ペプチド)の弓状核局所投与は摂食を亢進した。弓状核NPYニューロンの[Ca^<2+>]_iをオレキシンは増加させ、レプチンは低下させた。POMCニューロンの[Ca^<2+>]_iをレプチンは増加、オレキシンは低下させた。オレキシン情報は両ニューロンに伝えられ、レプチンによる干渉を受けた後、出力されると考えられる。 PACAPは、インスリン分泌促進と脂肪細胞におけるインスリン作用増強作用をもつが、その摂食作用を検討した。PACAPはNPYニューロンを活性化した。PACAP KOマウスでは摂餌量と体重が低下した。PACAPの摂食亢進作用が明らかとなった。 2)膵内因性グレリンによるインスリン分泌制御 グレリンは、成長ホルモン放出促進因子受容体(GHS-R)のリガンドであり、胃で産生される。グレリン、GHS-RのmRNAは膵島にも局在した。マウスにグレリン受容体(GHS-R)拮抗薬を腹腔内投与すると、血中インスリン濃度が増加した。ラット単離膵島に、GHS-R拮抗薬、抗グレリン血清を添加すると、グルコース刺激によるインスリン分泌および[Ca^<2+>]_i上昇は増加した。反対に、グレリンの添加は、グルコース刺激による膵島インスリン分泌、膵島[Ca^<2+>]_i上昇、単離β細胞[Ca^<2+>]_i上昇を抑制した。 グレリンは膵島内因性のインスリン分泌制御因子であり、β細胞[Ca^<2+>]_i低下により抑制作用を発揮する。血中グレリン濃度低下が、肥満、空腹時高インスリンと相関する報告を考慮すると、グレリン機能低下が肥満、高インスリン血症の原因となる可能性が示唆される。
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