研究課題/領域番号 |
15082201
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
加藤 宏司 山形大学, 医学部, 教授 (30006746)
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研究分担者 |
佐々木 寛 山形大学, 医学部, 助手 (70261691)
藤井 聡 山形大学, 医学部, 助教授 (80173384)
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キーワード | アストログリア / オリゴデンドグリア / 脳型脂肪酸結合タンパクノックアウトマウス(B-FABP KO mouse) / 長期増強(Long-term potentiation, LTP) / ポールテストpole-test / 回転棒テストrotor-rod test / 4箇所からの餌取学習装置(4-PT test) / 情動行動 |
研究概要 |
本年度は2つの研究を進めた。第1は、グリア細胞の型とそれぞれの電気的性質を明らかにしたものである。第2は、アストログリアに発現する脳型脂肪酸結合タンパク質をノックアウトしたマウス(Brain type-fatty acid binding protein KO mouse, B-FABP KO mouse、東北大・医・近藤尚武先生より提供)の学習行動を検討した実験である。その実験過程で、学習・記憶実験のための装置を検討・改良した。 第1の研究では、ラット海馬CA1の法線層にあり、ニューロンに隣接する細胞からホールセル記録をした。その結果:(1)ニューロンに隣接する細胞は脱分極により活動電位が起こらず、染色した形態からグリア細胞であると結論した。(2)このグリア細胞には、a)静止膜電位が深く(平均約-80mV)、入力抵抗が低い(平均100MΩ)グリア細胞と、b)静止膜電位が浅く(平均約-50mV)、入力抵抗が高い(平均500MΩ)、の2群が区別された。c)染色された突起の形態と特異抗体の染色から、a)はアストログリア、b)はオリゴデンドログリアであると結論した。 第2の結果は以下のようであった。(1)海馬CA1領域の長期増強(long-term potentiation)についてはコントロールとの差はなかった。(2)日常の、睡眠・活動パターン・餌摂取量・体重にも差が見られなかった。(3)教室で開発した4か所からの餌取り装置による学習結果もコントロールと差は見られなかった。最も差があったのは、(4)ポールテストと回転棒テストであった。(5)日常行動としてKOマウスは敏捷で逃げ足が早い反面、音に対する反応や警戒心がコントロールより強く、臆病であるようにも見られた。以上のことからこのマウスは学習・記憶系より、情動系がコントロールと異なるのではないかと結論した。
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