研究課題/領域番号 |
15082202
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小澤 瀞司 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40049044)
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研究分担者 |
都築 馨介 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60222139)
飯野 昌枝 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20008329)
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キーワード | 小脳皮質 / 海馬 / グルタミン酸作動性シナプス / AMPA受容体 / グルタミン酸トランスポーター / GluR2 / 突起伸展 / 痙攣 |
研究概要 |
本研究では、小脳皮質、海馬のグルタミン酸作動性シナプスを取り巻いているグリアに発現する2種類の機能タンパク質であるAMPA受容体とグルタミン酸トランスポーターの機能の解明を目指している。本年度の研究で得た知見は以下のとおりである。 1)ヒトのグリオーマ由来の株細胞U87 MG細胞のAMPA受容体の発現と突起伸展との関連を解析した。この細胞には、GluR1、編集型及び一部未編集型のGluR2及びGluR3が発現しており、編集型GluR2の発現調節により、突起の形態を変化させうることを見出した。 2)小脳プルキンエ細胞の興奮性シナプスの周辺に存在する4種類のグルタミン酸トランスポーターである、(1)GLAST、(2)GLT-1、(3)EAAC1、(4)EAAT4が、シナプス伝達制御に果たす役割について、ノックアウトマウスを用いた研究により、その全体像を明らかにした。すなわち、グリア性トランスポーターである(1)と(2)は協調して、放出されたグルタミン酸を直ちに回収する。神経性トランスポーターのうち、(3)はシナプスで放出されるグルタミン酸の回収に関与しない。(4)はグリア性トランスポーターによる回収を免れた少量のグルタミン酸を回収し、これらが隣接シナプスに拡散することを防ぐ。また、(4)のノックアウトのみで代謝調節型グルタミン酸受容体mGluR1の活性化によるEPSCの発生が亢進した。 3)新規に開発されたグリア性グルタミン酸トランスポーター選択的阻害剤(TFB-TBOA)は、成熟ラットでGLT-1の活動を阻害し、海馬錐体細胞の興奮性シナプス後電流のNMDA受容体依存性成分を遷延させ、痙攣波を発生させた。また、in vivoでラット海馬にこの薬物を注入すると、確実に痙攣が誘発された。従って、グルタミン酸トランスポーターの機能低下による、グルタミン酸の細胞外貯留がてんかんの病因の一つであることが推定された。
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