研究課題
グリア細胞の持つ突起構造と神経細胞側の構造をスライス標本内で同時観察する試みは既にいくつか報告されているが、シナプス部位での形態変化に相関が存在するのかについては確実なデータは得られていない。このような疑問に答える為に、シナプス後部構造を一細胞電気穿孔法によってrhodamine-dextranを錐体細胞に導入することで可視化し、一方でアストログリアの突起構造を組み換えアデノウィルスを利用してGFPを発現させる事によって検出した。更に両者が近接して存在する部位を二光子顕微鏡によりタイムラプス同時観察する事で、フィロポディア・スパイン構造とグリア細胞の動態の相関を解析した。海馬CA1およびCA3の樹状突起に形成されるフィロポディア・スパイン構造は、長時間維持されるものと短時間で消失するものに分類されるが、特に長時間維持されるフィロポディア・スパイン構造に選択的にアストログリアの突起が接触していた。アストログリアの接触する突起は時間経過に従いこぶ状の頭部を持つ形態に変化する傾向があった。また電子顕微鏡連続切片の立体再構築により、フィロポディア・スパイン形成期においてシナプス前部とフィロポディア・スパイン、更にグリア由来の突起構造が近傍に存在する例が多く存在する事も示された。これらの結果はシナプス形成の初期過程において、一過性に形成される樹状突起からの微小突起がアストログリアによって安定化されることで結果としてシナプス形成が促進される可能性を示唆する。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (7件)
European Journal of Neuroscience 22
ページ: 2985-2994
Nature Methods 2
ページ: 677-684
Current Biology 15
ページ: 587-593
Stem Cells and Development 14
ページ: 55-64
Neuroscience Research 51
ページ: 199-214
Molecular and Cellular Neuroscience 28
ページ: 264-274
Journal of Neuroscience in press.