研究課題
アレキサンダー病はアストロサイト特異的マーカーとして広く知られているGlial fibrillary acidic protein (GFAP)の点変位によって発症することが2001年に発表され、これが最初のアストロサイト特異的疾患の報告であった。我々は、アストロサイトの機能を類推するために、アストロサイト特異的疾患モデルとしてアレキサンダー病モデルマウスを樹立し、解析している。昨年度までにマウスGFAPプロモーターの下流で変異ヒトGFAPを発現させたトランスジェニックマウスを作出し、このマウスアストロサイトにはアレキサンダー病に特徴的なRosenthal fiberと呼ばれるエオジン好性の凝集体が生じるが、脳神経機能や行動にはほとんど影響を及ぼさないことを報告した。しかし、山形大学加藤グループとの共同研究により、海馬CA1領域においてLTPが誘導されやすいことが明らかとなった。そこで本年度は海馬のLTP誘導能と密接な関係にあるBarns Maze、T mazeなどの行動解析を行った。T mazeにおいては短期記憶が試される。このテストにおいて海馬CA1でのLTP実験の結果を反映して、モデルマウスにおいて野生型より良好な結果を示した。すなわち、短期記憶が行われやすいのである。Barns MazeのProbe testは長期記憶が試される。有意差はつかなかったが、興味深いことにモデルマウスでは長期記憶は悪い傾向にあった。また、変異ヒトGFAP遺伝子の発現量を上げるために、導入遺伝子のホモザイゴートの作製も行った。このマウスにおいてはRosenthal fiberがより多く生じていた。現在、脳機能解析および行動解析のための準備を進めている。
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