研究課題
ミクログリアによる神経活動制御の分子機構を解明していく上で、生体内のミクログリアの可視化は、刺激応答的なミクログリアの分布ならびに形態変化をリアルタイムで解析することが可能となるため、非常に有用な技術である。そこで、我々は、ミクログリア/マクロファージに特異的に発現しているIba1分子に着目し、そのプロモーターの制御下でEGFPが発現するIba1-EGFPトランスジェニックマウスを作製した。成体のIba1-EGFPトランスジェニックマウスの脳において、EGFP陽性細胞は全てIba1陽性細胞であり、その蛍光像もこれまでの抗Iba1抗体によるミクログリアの染色像とよく一致していたことから、EGFP陽性細胞はミクログリアであることが示された。また、本マウスにおけるEGFPの蛍光シグナルは、10.5日齢の胎児から観察されるため、脳の発達期におけるミクログリアの分布と形態についても観察可能である。現在、ミクログリアは単球を起源とし、脳髄膜から、また、血液脳関門が形成される以前に血流にのって脳内に侵入後、分化・成熟すると考えられている。本マウスを用いて胎児期のミクログリアを観察した結果、特に強いEGFPの蛍光シグナルが肝や血管内皮において観察され、また、脳においてはEGFP陽性細胞が実質部よりも表層部に多く見られた。その形態は、細い突起を持たない幼弱型のミクログリアとよく一致していた。これらの結果は、これまでのミクログリアの発生学的な知見を裏付けるものであると考えられる。以上、本研究で作製したIba1-EGFPトランスジェニックマウスは、ミクログリアを生きた組織内でリアルタイムに観察できることから、ミクログリアと神経細胞との相互作用を解析する上で有用なツールになると考えられる。
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