研究分担者 |
内野 茂夫 国立精神・神経センター, 神経研究所・代謝研究部, 室長 (30392434)
大澤 圭子 国立精神・神経センター, 神経研究所・代謝研究部, 室長 (40392435)
権田 裕子 国立精神・神経センター, 神経研究所・代謝研究部, 研究員 (60424181)
和賀 央子 国立精神・神経センター, 神経研究所・代謝研究部, 研究員 (80462795)
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研究概要 |
我々は,これまでに,細胞外ATPが三量体Gタンパク質共役型ATP受容体P2Y12とイオンチャネル型ATP受容体P2X4を介して遊走を調節し,また,ATP刺激で活性化されるホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)とボスホリパーゼC(PLC)シグナル系が遊走調節に関与することを明らかにしてきた。一方,近年,局所的な組織障害時にラミファイドミクログリアが数時間以内に障害部位へ突起を伸長し,それはATPによりP2Y12を介して誘導されることが報告された。突起伸長はミクログリアの機能変化を誘導するうえで重要な反応であるが,その細胞内調節分子機構は不明な点が多く,細胞移動能との関連も明らかにされていない。そこで,我々は,ミクログリア突起伸長アッセイ系を作成し,ATPによる突起伸長を調節する分子機構について解析を行った。 トランスウェル内のコラーゲンゲル上にラット脳初代培養ミクログリアを播種し,ボトムウェルにATPを添加すると,ATP濃度勾配に依存した突起伸長が観察された。この突起伸長は,P2Yl2アンタゴニストとPI3K阻害剤およびPLC阻害剤により抑制されたことから,P2Y12の下流で活性化されるPI3KとPLC両シグナル系により調節されることが確認された。また,突起伸長は刺激30分以内に起こるが,細胞体の移動は2時間以降に認められたことから,細胞体の移動には突起伸長に必要なシグナルに加えて新たなシグナル経路の活性化が必要であると考えられた。一方,インテグリンシグナルを仲介せずに細胞と接着するペプチドハイドロゲルでは突起伸長が認められないことから,細胞接着因子との関連を検討したところ,インテグリンβ1を介した細胞接着が突起伸長に必要である事が示唆された。
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