研究課題
平成16年度は以下の研究を進めた。細胞膜受容体に関する研究については、Gたんぱく質共役受容体のリガンドである生理活性ペプチドPACAP(pituitary adenylate cyclase-activating peptide)の天然に見られる27残基のもの、38残基のものについて、DPGミセルに結合した状態での構造決定やスピンラベルを使ったミセルとの相互作用に関する研究を行うと共に、PACAP受容体の調製などを行った。興味深いことにPACAP27が、構造がフレキシブルであると考えられるN末端を除いて、ほぼ真っ直ぐなαヘリックスを持つのに対して、PAGAP38はN末端を除けば湾曲したαヘリックスを持つことが判った。PAGAP38の持つ受容体との高い親和性を考え合わせると興味深い。ユビキチン化に関する研究については酵母Dsk2pの持つUbiquitin-associating(UBA)ドメインとユビキチンの複合体の立体構造、Lys48、Lys63架橋型の2量体、4量体ユビキチン鎖の高次構造の特徴について論文投稿を行った。Lys48リンクのユビキチン鎖はサブユニット間に相互作用を持ち全体として4次構造を持つが、Lys63リンクのポリユビキチン鎖ではユニット間の相互作用をほぼ持たないことを示す結果を得ている。さらにLys48リンクのユビキチン鎖の溶液中での高次構造を解析する実験も行っている。細胞内輸送に関する研究については後期エンドソームでタンパク質選別に働くESCRT-III複合体を調整するVps4のN末端ドメインの持つMITドメインの構造解析を行い、論文投稿も行っている。細胞内小器官に局在するタンパク質としてペロキシソームに局在するPex1のN末端ドメインの立体構造を決定し、論文投稿を行っている。Pex1はペロオキシソーム形成とタンパク質のペロオキシソーム・ターゲッティングの双方に重要な役割を果たすAAA-ATPaseタンパク質である。Pex1のN末端ドメインは配列相同性が低いにもかかわらず、VGP/p98、NSFなどの内膜輸送に重要な役割を果たす他のAAA-ATPaseと良く似た立体構造を持つことが判った。
すべて 2004 その他
すべて 雑誌論文 (6件)
Journal of Biological Chemistry 279
ページ: 50060-50068
Acta Crystallography D Biological Crystallography 60
ページ: 2098-2099
Genes to Cells 9
ページ: 865-875
ページ: 33806-33815
Protein Engineering, Design & Selection 17
ページ: 305-314
Structure (印刷中)