(1)TRAPチューブ E50CのみTRAPに変異導入したものとV69Cのみに変異導入したものをチューブの最小単位となるように作製した。これはTRAP同士がどのように結合しチューブとなるかをX線結晶構造解析により解明するためである。D8H、F32D、E50C、R66H、V69C(以下HCCDH)と、D8H、F32A、E50C、R66H、V69C(以下HCCAH)というように5箇所に変異を導入し、E50とV69に導入したシステインによりS-S結合を形成することを予想し設計した。 (2)TRAP-AT複合体 Bacillus subtilisの細胞質の中では、TRAP活性はanti-TRAPというタンパク質に制御されており、トリプトファンの不足している状態で、TRAPとantiTRAPは複合体を作る。したがって、RNA結合が阻害される。今まではどのようにTRAPとantiTRAPが相互作用しているか明らかではなかった。そのため、我々はこの複合体の結晶化を行い、結晶構造を決定した。 TRAP-antiTRAP複合体のX線結晶構造を決定した。結晶化とともに、TRAPは11量体から12量体になった。結晶対称軸とTRAPリング軸を合わせて、非対称単位が数個の分子しか含まない。それから、通常では大きい複合体は十分に分解能回折データを測ることができないが、今回は高い分解能のデータを測ることができた。
|