研究課題
ムスカリンM_2受容体変異体の結晶化の試みを継続している。X線回折装置の日常的な使用により、結晶を再現的に生成できるようになった。しかし、回折点の分解能は10A程度にとどまっている。M_2,M_4受容体を、HEK293細胞に発現させ、アゴニスト依存性細胞内移行とアゴニスト除去による細胞表面へのリサイクリングを調べた。M_4受容体はリサイクリングしたがM_2受容体はしなかった。M_2とM_4のキメラ受容体を用いた実験で、リサイクリングの有無は細胞内第3ループによって決まることが分かった。ヒト、アフリカツメガエル、ニワトリ、何れのM_4受容体でもリサイクリングが観察された。共通領域を殆ど覆う種類の変異体を調べたが、どの変異体もリサイクリング能を示した。「リサイクリングを可能にする部位が複数ある可能性」、「M_4受容体にリサイクリングを可能にする配列があるのではなくM_2受容体にリサイクリングを阻害する配列がある可能性」などが考えられる。M_1受容体の細胞内第3ループ(アミノ酸残基数156)を大腸菌に発現させ、円偏向2色性(CD)の測定を行った。予想に反し、第3ループはランダムコイルであることが示唆された。各種GPCRとGタンパク質αサブユニットとの融合タンパク質(受容体・Gα)をバキュロウイルス・Sf9細胞系で発現させ、その膜標品を用いて、受容体とGαとの相互作法を調べた。この系を用いて、脳抽出液中のペプチド(ノシセプチン)を検出できることを示した。一方、受容体・Gα_<16>融合タンパク質を培養細胞に発現させると、Ca^<2+>濃度の上昇を指標としてアゴニストを鋭敏に検知できる。受容体・Gα融合タンパク質は化学センサーとして有効と考えられる。
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