研究課題
ムスカリン受容体M2サブタイプの変異体(糖鎖を結合せず、細胞内第3ループの大部分を削除したもの)を主な対象として、大量発現・精製系を確立し(10-15mg/month)、結晶化の試みを行った。回折点を与える結晶は再現的に得られるが、分解能は10A程度以上に上がらなかった。大阪大学安達宏昭博士や科学技術振興機構岩田想博士との共同研究を行い、これらの研究室でも同じ条件でムスカリン受容体の結晶化は再現された。しかし分解能の顕著な向上は見られていない。ムスカリンM4受容第3ループを部分的に削除した変異体を作成し、ダイナミン依存性細胞内移行とアゴニスト除去後の細胞表面へのリサイクリングを調べた。ダイナミン依存性細胞内移行は、i3の削除部分に依存して、影響を受けない場合と約1/2に減少する場合がある。また、予想に反してi3の根元以外の殆どを削除した変異体でもダイナミン依存性細胞内移行が観察された。これらの結果はダイナミン依存性細胞内移行に関わる部位が複数あることを示している。一方、M4受容体のリサイクリングは、i3内の特定の配列の削除によって消失した。この約20残基の部位を、i3を除去したムスカリンM2受容体に付加すると、アゴニスト依存性細胞内移行とリサイクリングが見られるようになった。この部位がリサイクリングに必須と考えられる。この部位に結合する成分の同定を試みている。受容体・Gα融合タンパク質は化学センサーとして有効であると同時に、オーファン受容体のリガンド検索にも利用可能である。この方法で同定した5-oxo-eicosaenoic acid(5-oxo-ETE)の受容体hGPCR48が、実際5-oxo-ETEへ向けての顆粒球の走化性に関与していることが、hGPCR48に対する抗体を用いて明らかになった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)
FEBS Letters 580
ページ: 23-26
J. Biochem. 139
ページ: 543-549
Chem. Med. Chem. 1
ページ: 729-740
J. Biol. Chem. 281
ページ: 31940-31949