研究課題/領域番号 |
15084206
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
樫村 志郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40114433)
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研究分担者 |
高橋 裕 神戸大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (40282587)
馬場 健一 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30238224)
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キーワード | 法律相談 / 法律サービス供給 / 紛争処理 / 法使用 / サーヴェイ調査法 / 裁判外紛争処理 / 裁判利用 / 法律情報 |
研究概要 |
本研究は、特定領域研究「法化社会における粉争処理と民事司法」のBグループの第1班(B01グループ)として、法律問題に遭遇する個人が公式の裁判以外の社会的問題解決サービスをどのように利用するかを問題にする。B01グループは、この間題に関する個人の行動とそれを規定する意識的あるいは社会構造的条件を探求し、あわせて、個人が利用できる問題解決サービス提供における行政の役割、社会階層的地位の効果等の問題を追求する。B01グループを構成するのは、本研究である神戸大班(樫村・馬場・高橋)のほか、大阪市大班(阿部昌樹)、東大班(佐藤岩夫・楜澤能生)である。個人の問題対処行動と弁護士、司法書士等の法専門家の関係を追求するB02班とは、合同会報、メール等により適宜議事内容を共有するなど緊密に連絡協力して作業している。本年度の作業経過を述べると、まず、本グループは、9月に代表者をまじえて予備・予備調査のための調査デザインについて、班員が作成した調査票案をもちよって検討し(第1回会合)、同月中にB02班と合同会議をもち調査票実の調整を行なった(第2回会合)。10月には、その検討をもとに、オムニバス調査によって、相談機関接触の頻度等に関する基礎的データを得た。同月には、一般市民7名によるグループインタビューも実施し、終了後に調査対象の概念化について検討した(臨時会合)。11月には、樫村が訪米して在米の研究者と知見の交流を行い、樫村と神戸大の大学院学生のグループにより、グループインタビュー結果の書き起こしをもとにして、分析を継続した。また、関西在住の班員による臨時会合を1回開きスクリーニング方法について諦めて検討した。12月には、これらをふまえ、領域代表者をまじえて、A班調査の課題・対象との関係の再確認を行ない、また調査方法について詰めを行なった(第4同会合)。これらを通じてあきらかになった方法論的問題は、多様で、それぞれの出現度数の小さい、機関接触経験をどのようにしてすくいあげるか、というものである。なお、本グループでは、B02班との調整の結果、弁護士・司法書士等の専門職への接触も、本調査の枠組みですくいあげることができるかぎりにおいて対象とすることとした。これらの問題・課題等も念頭におき、2003年末から2 004年1月にかけて、グループ外部の計量社会学者の助言を得つつ、調査実務担当者をまじえて、調査質問の個別的推敲作業を継続し、第1予備調査票を完成した(第5回、第6回、第7同会合)。これにもとづき2月中に調査の技術的細部を決定し、3月中にサンプル数2500で予備・予備調査を実施し、暫定的な調査結果を得た。回収率が予想外に低いためクロス集計には、困難が予想されるが、全般的傾向としては、問題経験者が50%近くあるなど興味深い結果を得た。
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