1.本年度は、領域研究課題の中の訴訟行動調査班メンバーを中心として、昨年度まで行った予備調査結果を踏まえて、本調査を実施するための技術的問題点について検討を重ねるとともに、本調査のためのデータサンプルの抽出方法とサンプル数を確定し、またデータ入力のためのフォーマットを作成した上で、全国の全地方裁判所本庁において、ロースクール学生などの協力を得てランダムに抽出した事件の記録一式を調査し、事件の当事者、代理人、事件の概要、終結の区分等の転記を行った。 守屋の担当地裁は、大阪地裁、神戸地裁、岡山地裁、広島地裁、鳥取地裁、島根地裁および沖縄地裁であり、各地裁と事前に打ち合わせの上、2004年度において終結した事件を対象として調査を行った。 2.この抽出されたデータを下に、次年度において、訴訟動機や弁護士へのアクセスの難易度、訴訟過程における当事者の期待や不満、裁判官・弁護士等に対する評価などを調査するために、当事者および代理人を対象とするアンケート調査を行う。そのためには、予備調査において用いたアンケート調査票を改善し、本調査用アンケート票の確定を行う必要があり、予備調査の分析・検討のための研究会を開催した。また、本調査において調査票の回収率を高めるための調査方法の検討や、調査実施の際の分担などについても検討を行った。 3.各地裁での訴訟記録調査は、アンケート調査のためのデータ抽出という目的の他、最近の訴訟動向や訴訟上の和解の成立過程などについて、実際の事例を踏まえて検討することも付随的な課題としている。守屋担当分だけでも250件近く、全国で1200件近くの事件記録を実際に調査することにより、消費者訴訟の具体例など、近時の訴訟動向を知ることができた。
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