本年度は、昨年度までに実施した訴訟記録調査の予備調査の分析をふまえ、昨年度までにサンプルとして収集した訴訟当事者および代理人弁護士に対して質問紙によるアンケート調査を実施するため、研究会を繰り返し開催し、アンケート調査票の質問項目および質問の文言を確定すると共に、調査方法も確定し、本調査を実施した(中央調査社に委託して実施した)。 また、昨年までに収集した訴訟記録についてデータクリーニングを行い、また必要に応じてデータを再コード化し、データセットの確定を行うと共に、収集したデータがこれまで公表されている訴訟データと矛盾がないかどうか検討し、特にサンプリング上の問題がないことについて確認した。 また、領域研究の他の研究班との合同の研究会を実施し、他の研究班の研究成果の報告を受けて、市民の紛争認知から相談・紛争処理手続の利用行動、更に裁判利用までの全体像の中に訴訟利用行動を位置づけていくための理論的な研究を進めた。 更に、訴訟上の和解を分析するための理論枠組を確定するために、紛争当事者間に成立する合意の多様性を理論的に分析し、裁判所外のADRにおける合意と区別される訴訟上での当事者間合意の特徴を検討した。 2007年度においては、本年度において実施した訴訟利用者および代理人弁護士に対するアンケート調査の結果を分析すると共に、訴訟記録調査において収集した訴訟データについての一層の分析を行い、両者を併せて市民の訴訟利用行動の定量的な分析を進めることになる。この成果の一部は、共同研究の成果として国際学会等において報告される予定である。
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