研究概要 |
本年度は6年計画の研究の初年度であり、本研究がその一部を構成する特定領域研究全体のなかでの位置づけと方向づけを確認するため、他課題の担当者と数度にわたる検討を行い、基本的な調査枠組みの構築に従事してきた。 具体的な作業としては、本課題は弁護士・司法書士ら法専門家の利用パターンの調査研究であるため、本特定領域研究全体で行ったオムニバス調査を通じ、そうした法専門家利用の出現率の確認が課題となった。このオムニバス・ランダム調査の結果、法専門家利用者の出現率は0.5%に留まることがわかった。その結果、当初計画していた、ランダムサンプリングによる一般市民への調査の中で、法専門家利用者を抽出し分析するという形では、有意な検証を行うための十分なサンプルの獲得が難しいことが判明した。 このため、できる限りサンプルのランダム性を保証できる様な別の形でのサンプル収集の方法を探るべく、次年度以降に開始する予備調査に先立ち、少ない予算の中ではあるが限定的な予備予備調査を実施することとした。法律事務所経由での法専門家利用者への調査可能性を探る形でこれを行った。 この予備予備調査の結果を前提としつつ,次年度には、より実質的な調査方法を模索していくことが必要となろう。また、次年度には、ブリティッシュコロンビア大学で実施されている紛争処理行動についてのカナダ、日本、中国の国際比較調査の計画とも交流しつつ、より効果的な調査方法の確定と調査票のデザインを課題としていく予定である。
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