本年度は、昨年までの弁護士・司法書士利用者調査によって得られたデータについての分析を行い、その分析に基づいて、B01班と協働で行う本格的な質問票調査の調査票の内容、および調査方法についての検討を行った。またこの過程で、B01班との協働調査の内容充実のための示唆を得るため、弁護士・司法書士利用者、および弁護士・司法書士への若干の面接調査を、補充的に実施した。 さらに本年度は、このB01との本格的共同調査の準備・実施とは別に、その過程で得られた知見に基づく成果の様々な形でのアウトプットの実施にも尽力した。福岡大学武士俣敦教授、大阪大学仁木恒夫助教授とともに構戒されたB02班では、すでに一昨年、予備調査や予備的文献研究で得られた成果を『弁護士活動を問い直す』(2004、商事法務)という著書の形で公開しているが、さらに、今年度は、弁護士会、司法書士会など、法サービスの提供者側への調査データ分析結果の提示に努めた。具体的には弁護士会での研修講演、日本司法書士会連合会関連のシンポジウム、研修講演などの形で提示し、その結果は日弁連研修叢書などの形で公表されることになっている。また、成果の一部は、弁護士の利用者への関係形成のあり方についての技法的提言として、『リーガル・カウンセリングの技法』(日本評論社、2006)のなかで展開している。 こうした研究過程で得られた知見の公開とそれへの反応は、本年度のもっとも重要な作業であった、B01との共同調査の内容に反映され、その方向づけに役立ったということができる。次年度は、このB01との共同調査の本格的なデータ分析と、そこで得られる弁護士・司法書士利用者への質的調査の実施、さらにそれに基づく研究成果の公表に努めていくことになる。
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