本年度は、各種相談機関の利用実態を研究対象とするB01班(神戸大学樫村志郎教授他)と共同での大規模調査の第二段調査を実施した。これらは、本特定領域研究B01およびB02班の今後の解析の基盤となるデータである。まず、B班統一質問票により実施された法専門家を含む相談機関利用行動調査のデータから、弁護士使用行動に関するデータを取り出し、単純集計が可能な段階にまで、データクリーニングを行った。このデータクリーニング作業はリコードなど研究者の専門的判断を要するものだったため、きわめて多大な労力を費やした。この過程で、両班研究者が何度か集まり、データセットの確定、その試行的分析なども共同で行った。 さらに、これら定量データの解釈をいっそう有益なものとするための質的インタビュー調査も行った。B02班では、それぞれ分担し、データの中から、インタビュー調査に応じてくれる被験者の中から、弁護士利用者、司法書士利用者を抽出し、これに対し、インタビューを行った。早稲田大学では、主として医療事故紛争当事者を担当した。 これらの成果については、平成19年度にベルリンで開催される国際法社会学会での報告に備えて、試行的に解析に基づく考察を行い、海外の研究者から、コメントを受けるなどの作業をも行った。今後は、これらデータのいっそうの整備と、必要な質的調査の補充、および論文、学会発表の形での公表へ向けて、検証作業を進めていくことになる。
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