平成19年度研究実績 本年度は、これまでに実施した弁護士使用、および司法書士使用に関するデータの分析、および二次資料やデータ、文献研究や補足的な質的研究の成果を統合しつつ、整理と分析をおこなった。統計的なデータについては、特定領域研究B班の他の研究グループと協働しつつ分析に当たり、統一的なデータセットを確定、そのなかの弁護士使用行動、司法書士利用行動のデータを参照した。具体的には、データセットを素材として、単純集計を中心に基本集計を完了した。2008年度には、この基本集計書が公表されることになっている。 BO2班内部での協働を前提に、市民が弁護士事務所・司法書士事務所を利用するという意味での弁護士・司法書士使用行動、市民の弁護士・司法書士へのアクセスの側面、問題解決にとっての弁護士・司法書士の有用性と弁護士に対する満足度、弁護士・司法書士の有用性と満足度の規定要因の探求などの分析結果を素材とし、比較パターンの検討を課題とする本研究では、その相互の特徴の抽出比較に焦点を合わせた。 ただし、サンプル数が少なく、とりわけ司法書士利用者については、その数がきわめて限られていることから、日本司法書士会連合会が実施した簡易裁判所代理権取得後の裁判事務に関する調査データや、司法書士、弁護士に対するインタビューなどを含めて分析を進めることとなった。 成果の公表については、ベルリンで開催されたLSA・RCSL合同の国際法と社会学会において、ADRに関する報告の中で、本研究の成果を部分的に生かすことができた。次年度は、これらデータを統合的に位置づけるというやや複雑な検証作業が必要となるが、より、本格的な成果の公表を課題としている。
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