本年度は、(1)昨年度に実施した予備調査の結果の分析、(2)それを踏まえた本調査の調査票の作成、および(3)本調査の第一次調査を実施した。具体的な作業は、以下の通りである。まず第1に、昨年度に面接法によって実施した予備調査(サンプル地点30、サンプル数600、有効回答数242)の結果を統計的に分析し、質問相互間の回答傾向の相関を吟味したうえで、質問票に盛り込んであった質問項目が、人々の紛争経験を説明する因子を捕捉するうえで適切なものであるかどうかを検討した。その結果を踏まえて、第2に、予備調査の調査票に大幅な修正を加え、本調査のための調査票を作成した。そして第3に、そうして作成した調査票を用いて、面接法による全国規模の本調査の第一次調査を実施した。本調査の実施実務それ自体は、社団法人・中央調査社に委託したが、それ以外の作業はすべて、本特定領域研究を構成する神戸大学班および東京大学社会科学研究所班に所属する研究者との共同作業で行い、そのために頻繁に検討会や研究会を開催した。 なお、これらの作業と並行して、本研究に固有の研究対象である自治体が実施している法律相談事業や仲介・斡旋事業について、その実態を把握するために、関西圏の複数の自治体を対象とした聞き取り調査を実施した。また、それらの事業を理論的に把握するために有益と思われる文献および各種の既存資料の収集および検討に努めた。さらに、既存資料のうちで、上記本調査の結果を解釈するうえでとりわけ参考になると思慮されたものについては、業者に委託して電子ファイル化した。
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