本年度は主として、C001班の全体としての計画に従い、東京大学班および岡山大学班とともに、16年度に予定されている予備調査のためのサンプリングと、予備調査のさらに予備にあたる調査表作成のベースとなる聞き取り調査を行った。サンプリングは仮に選ばれた各地裁の裁判調書からサンプルとして一定数の事件について、本調査のための調査票およびインタヴューガイド作成の基礎となる、民事訴訟事件の属性(事件概要、訴訟経緯、当事者および代理人)を見るものであり、東京地裁(神長、和田)、大阪地裁(和田)でのサンプリングに参加した。これと並行して、調査の前提となる統計的知識を共有し、さらに本特定領域研究に特化した調査の諸問題点の同定とその予備的解決を目指す目的で、総括班が主宰する調査技法の研究会に参加した。 専修大学班「ジェンダーと民事訴訟」独自には、研究計画に従い、ジェンダー関連資料の収集を行った。その結果の一端としては、2004年3月4日専修大学法学研究所合宿研究会における報告「司法におけるジェンダー・バイアス」がある。これは、専修大学教員を核とする法学者の研究団体である「法学研究所」の要請を受けて、民事司法を中心として近代法そのものに内在する問題点との関連で分析したものである。 同時に本年度は、民事訴訟の運営にあたる法律家(裁判官・弁護士)の養成に携わる法科大学院制度発足を控えたこの時期にあたり、設置を予定している67法学部についてシラバス分析を通じて、従来の法学教育におけるジェンダー教育の実態と位置づけを把握するための調査を実施し、2003年12月のジェンダー法学会創立総会における報告「ジェンダー法学教育カリキュラムの現状」を行った。
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