2004年度におけるC01班全体としての実績は、2006年度本調査に向けての予備調査の実施である。専修大学班は、東京大学班、関西学院大学班と共同して、8月19〜21日、10月30日の合宿研究会を含めた研究会において2004年末ころまで調査票作成に従事し、ひきつづいて、調査を依頼した中央調査社との打ち合わせ、調査員への指示、調査の同行に関する調整、調査員反省会への出席を行った。この本調査へむけての実施体制の構築と調査票(および挨拶状)の再考は、本調査の成否を握る重要性を持つことになった。 専修大学班独自の活動としては、研究代表者は、今回の調査の基礎的知見の一部を提供した1998年の弁護士調査を再分析して、「20世紀末における日本の大都市型女性弁護士」として論文にまとめた。同調査は調査地を東京とし対象を女性弁護士に限定したものであったため、そこで提起された問題のいくつかについては今回の調査においてより広いベースにおいて検証される可能性がある。それと同時に、女性弁護士とその顧客層および依頼事件類型の関係から導出される、一般市民の弁護士観ならびに「女性事件」の類型は、今回の調査にとって、その調査票作成のみならず、結果の分析に向けても非常に示唆に富むものであることが明らかになった。 研究分担者は、9月1日より2週間シドニー市(オーストラリア)に出張し、「コミュニティ・ジャスティスセンター(CJS)において裁判外紛争処理機関の活動実態を調査した。ここでは、従事者との面接し、意見交換・資料交換を行うことを通じて、外国の状況および裁判の外側からの見方を導入することによって、今回のC01班調査の分析視点を補強することができた。
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