「全国訴訟記録調査」および「全国民事訴訟当事者・代理人調査」を通じて、日本の民事訴訟制度の現状は、女性のニーズに応えていない現状が明らかになった。女性は、裁判およびその前提としての弁護士へのアクセスが限られているばかりでなく、男性よりも、裁判をするにあたって懸念事項が多く、様々な考慮から和解を求めるとともに、実際の裁判行動上の限界を有する。しかし同時に、女性の裁判への期待は男性よりも大きいことも調査からわかったのであるから、女性の民事訴訟利用に対する訴訟実務における配慮と、司法統計上にジェンダーに関する統計項目の採用が必要である。
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