本研究は、市民の法使用行動、とりわけ「法専門職への接触」につき調査を実施するB02グループのなかの「司法書士」を担当するものである。このような位置づけから、B02グループ内はもちろんB01グループとも、会議やメールにより緊密な連絡をとり相互の関連性に配慮しながら作業を進行させてきた。 また、本年度は、次年度以降の本格的な調査へ向けた準備段階であり、若手を対象にした社会調査法研究会に積極的に参加することで調査方法の理解を深めることに努めた。 全国アンケート調資を実施した場合、法曹人口が少ないわが国において紛争経験者のうちどの程度の法専門職利用者があるのか、その出現率が大きな問題である。この点、10月にはオムニバス調査により、一般市民を母集団とする調査では弁護士・司法書士への接触頻度が0.5%程度ときわめて低いことが明らかになった。 また、本年度、予備予備調査が急遽実施されることになった。この調査の適切な質問項目作成のため、弁護士利用者への集合面接、司法書士利用者への個別面接をおこなった。そのさい、紛争処理手段として司法書士利用者の確保がきわめで困難であり、弁護士以下の低出現率を示すのではないかということが推測されるにいたった。 このような成果をふまえて、当初は法使用行動の担当としてB01グループと共通調査を実施する予定であったが、B02グループ独自で実質的に有効なサンプル抽出方法とそれに即した質問票作成を検討せざるを得ないことなどが確認された。社会調査法研究会で得た知識をもとに、2〜3月に、B02グループ内で独自の調査票を作成し、C01班の協力も得て、東京および福岡で留置き調査と郵送調査とを併用したパイロット調査を実施することにした。現在、その結果の集計をおこなっている。またそれと平行して、次年度に予定されている予備調査での司法書士固有の質問票作成準備のために、その紛争処理の実情をより正確に把握する目的で、3月に司法書士への面接調査を実施した。 このように、当初には予定していなかったオムニバス調査および予備予備調査を実施したことで、次年度の予備調査へ向けた独自調査の必要性が確認され、また質問票作成などの準備をおこなうことができた。
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