本研究は、市民の法使用行動のうち「専門職への接触」について調査研究を実施するB02グループのなかの「司法書士」を担当するものである。平成17年度は、前半では、試験的に実施したB02グループの独自調査に区切りをつけ、後半からは、BO1グループと協働して本調査に向けた準備作業をおこなうとともに、本調査を受けて実施を予定しているB02グループの面接調査のための準備を進めた。 まず前半では、平成16年度の終わりから取り組んだ、司法書士利用者へのアンケート調査結果のデータを得た。すなわち、大阪司法書士会所属会員の協力を得て、所属会員から紹介を受けた38名の司法書士利用者からアンケートを回収した。試験的に実施したこの調査により、市民による司法書士利用の実態の一端を明らかにすることができた。しかしながら、この方法による調査をさらに進めても、サンプルの代表性の問題を克服する見通しがつかないため、ひとまずこの作業は終了させた。また、この時期、B01グループと協働して調査に取り組む作業をおこなった。 今後の研究方法としては、主にB01グループと協働して進めてきた大規模調査から得られるデータをもとに分析をおこなうことを予定している。そこで後半は、本調査での最終的な質問項目を確定するために、B01グループと合同での会議とB02グループでの会議を中心に、この作業を進めた。とりわけB02グループとしては、大規模調査の質問項目を製錬させるために、若干の探索的なインタヴュー調査をおこなった。まず、全国司法書士会連合会および個々の司法書士の協力を得て、現段階での司法書士による紛争案件への取組み状況についての情報収集をおこなった。また、そもそも司法書士の紛争案件の取扱いが現在ではまだ極めて少数に止まっていることから、B02グループ全体の構想を念頭に置きつつ、併せて弁護士を対象とした探索的な調査をおこない、その過程で若干の成果を産出するにいたった。
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