市民の法使用行動の実態と把握し、アクセスおよびサービス提供過程の問題を明らかにするB班研究のうち、本研究は「司法書士」の使用を担当する。平成18年度は、おもに、B01班と合同で実施した大規模調査で回収した調査票のクリーニング作業と、聴き取り調査協力者へのインタヴュー調査をおこなった。 まず、大規模調査で回収された5330票をB班で共有し、そのうち「トラブルや納得できないことがあった」と回答した1946票について、データクリーニング作業をおこなった。作業は、B班合同で、9月及び12月に集中して時間をとり、おこなわれた。この作業では、不明確な回答の確定や自由記述回答のアフターコーディングなどが遂行された。平成19年3月現在では、定量分析に必要な作業は一とおり完了している。その成果は、3月7日に実施された特定領域全体研究会において、報告がなされている。 筆者も、自身が所属するB02班の法専門職利用調査分析として、弁護士との比較という観点から司法書士の利用状況につき、単純集計は完了した。しかしながら、1946票を母数に取る本調査でも、当初の予想どおり、司法書士利用者の数は14名と、弁護士利用者の73名に比較してきわめて小数に止まった。司法書士の利用状況につき、この定量的データに厚い解釈をおこなうために、すでに平成18年までに蒐集した司法書士関連文献の整理分析をおこなっている。その成果の一部は、「規制改革後の司法書誌の役割変容」(月報司法書士10月号)として公表されている。さらに重要な作業として、現在、司法書士の相談経験者の面接調査をおこなっている。すでに数件の調査については完了し、定量的データを補う貴重な知見が獲得されつつある。
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