研究概要 |
本研究では、平成19年度は、B01班と合同で実施した大規模調査で獲得されたデータの最終的な確定及び基本集計書の取りまとめと、暫定的なデータに基づいた市民による司法書士の使用についての分析とその成果の発表をおこなった。 第一は、データの最終的な確定と基本集計書の取りまとめである。今年度内に、B班では、前年度にデータクリーン作業をおこなった大規模調査の結果を基本集計書としてまとめることを目標としており、そのための最終的なデータの確定のための作業をおこなってきた。筆者は、今年度の後半に、単純集計の分担箇所の出力作業及びB班合同での会合により調整をすすめてきた。 第二は、暫定的なデータに依拠した分析及びその成果発表である。基本集計書取りまとめの過程において、データの微調整を継続しているが、暫定的に確定したデータに基づき、市民による司法書士の使用の実態について分析をおこない、その成果の一部を発表した。ベルリンにおけるRCSLでは、7月25日に、樫村志郎、武士俣敦と共同で"Mobilizing Lawyers in Japanese Social Context:For What?"として報告をおこなった。また、9月8日の明治大学における特定領域研究全体研究会では、「司法書士の法的サービスの特徴一市民の法使用の実態と課題-」として報告をおこなった。明治大学での報告内容については、若干の加筆の上、本特定領域研究,「法化社会における紛争処理と民事司法」のワーキングペーパー第1集(10月発行)に同タイトルで発表した。 現段階では、暫定的なデータに基づく分析という制約はあるものの、市民の司法書士の使用の特徴として、不動産賃貸借関連の紛争での利用が顕著であること、当初の期待よりも法的な助言を得ていることなどが明らかになっている。
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