研究課題/領域番号 |
15085206
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
掛下 知行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90127209)
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研究分担者 |
植田 千秋 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50176591)
福田 隆 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (50228912)
寺井 智之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20346183)
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キーワード | 結晶時期異方性 / 磁気エネルギー / 双晶変形 / 強磁性 / 反磁性 / 微小重力 / 変形 / 無機酸化物 |
研究概要 |
本研究課題では、スピンが関与する結晶磁気異方性とスピンが関与しない反磁性異方性を利用した新しい構造・組織・機能を有する材料を創製することを目指した。スピンが関与する結晶磁気異方性に関しては、結晶学的ドメインが磁場により再配列する機構ついてNi-Mn-Ga系の強磁性形状記憶合金を用いて明確にすることを目標とした。スピンが関与しない反磁性異方性に関しては、磁気異方性Δχxが未測定の反磁性酸化物について、その値を測定により集積するとともに、微小重力を利用して、高感度の測定システムを実用化することを目標とした。 Ni-Mn-Ga系合金に生成する10M,14M,2Mマルテンサイトにおける磁場によるバリアント再配列挙動を調べ、10Mでは変態温度(202K)以下のすべての温度で磁場によるバリアント再配列が起きること、14Mでは変態温度(309K)から280Kの温度範囲においてのみ磁場によるバリアント再配列が起き、2Mでは変態温度(352K)以下のどの温度においてもバリアント再配列が起きないことを明確にした。これらの挙動を説明するために、結晶磁気異方性定数、格子定数ならびに変形応力の温度依存性を求めた。この値より磁場下においてバリアント間の界面(双晶面)に働く磁気的な剪断応力τ_<mag>の磁場依存性を求めた。また、圧縮試験により双晶変形応力τ_<req>を求めた。これらτ_<mag>とτ_<req>を比較した結果、これらが一致する磁場強度においてバリアント再配列が始まることが明らかとなった。また、磁場によりバリアント再配列が起きない場合はτ_<mag>の最大値がτ_<req>より小さいことが明らかとなった。このようにして、τ_<mag>がτ_<req>より大きくなったときに磁場によるバリアント再配列が起きることを定量的に示すことができた。 微小重力を用いたΔχ測定において、1x10^<-9>emu/gレベルの感度を達成した。この感度により水晶、コランダムなどのΔχ値が既知の物質について測定を行い、測定値が文献値と一致することでシステムの有効性が検証された。また、Heガスを分散媒とした粒子配向の実験装置を(測定温度範囲:室温〜40K)完成させ、純粋な反磁性体であるグラファイトの場合、その磁場配向に要する磁場強度BsがT^<-1/2>に比例して低温で減少することを実証した(理論的予測と一致)。
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