研究概要 |
本年度は以下の4つの研究テーマに関し研究を進め,以下のような結果を得た. (1)磁場によるブロック共重合体のナノ構造制御. ロッド状ナノ構造を形成するスチレン系トリブロック共重合体を用いて,その構造形成を磁場中で行った.既に構造形成が進んだ試料に対して磁場を印加したところ,構造の秩序化が更に高まることが明らかになった.ロッド界面での主鎖の磁気異方性と矛盾しない結果であった. (2)超臨界/磁場下での結晶性高分子の構造形成制御. 今年度は開始年度出もあり,磁場内で超臨界二酸化炭素を得るための装置を作製した.来年度はこの装置を用いて具体的な実験に取りかかる予定である. (3)磁場を用いた光学材料の創成. 結晶性高分子に結晶化核剤(有機微結晶)を加え溶融状態で磁場を印加することにより核剤を磁場配向させ,その特定表面上で高分子鎖をエピタキシャル成長させることにより,高分子鎖を配向させることが可能である.核剤の導入により高分子結晶が微細化するため,透明性の高く,かつ配向したフィルムを作製することができる.本年は,結晶性高分子としてisotactic polypropyreneを核剤としてNA-11を用いて実験を行ったところ,熱処理条件をうまく整えることにより,透明性が高く配向したフィルム試料を作製することに成功した. (4)高分子/無機ナノ配向複合材料の創成. ZnOナノ粒子を光硬化性樹脂に分散させた試料に磁場印加し,粒子を配向させた.X線回折,光学測定によりc軸が磁場に垂直に配向することが確認された.また,アルコール懸濁液を磁場内でキャストしたところ,やはり粒子配向が得られた.
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