研究概要 |
本年度は以下の成果を得た. (1)ブロック共重合体のナノ構造制御:ロッド状ナノ構造をもつブロック共重合体を8T磁場中で熱処理した所,ロッドに平行に磁場が印加された場合にはロッド配列がより促進し,垂直に印加された場合には配列が乱れる兆候が観察された.更に30Tの磁場中で同様の処理を行った所,同様の傾向が確認された. (2)超臨界二酸化炭素中・磁場印加によりポリプロピレンの結晶化を行ったところ,光学顕微鏡下で結晶の磁場配向が確認された.球晶の発達が抑えられ,針状晶が配向しているのが確認された.現在赤外分光,X線解析により更に精密な構造解析を行っている. (3)ナノ粒子とポリマーの配向複合体の作製を行った.ナノ粒子としては,カーボンナノチューブ,水酸化ガドリニウムナノロッドを用いた.これらのナノ粒子をポリスチレン溶液に懸濁し磁場内でキャストしたところ,配向試料を得た.透明性に優れ,数百nmのリタデーションを持つフィルムが得られた.カーボンナノチューブに関しては,マイクロパターニングと配向の組み合わせも検討した.その結果600μm周期で線状に配列し,かつ配向した試料を得ることに成功した. (4)核剤の磁場配向誘起による結晶性高分子の磁場配向を用いて,傾斜配向材料を作製した.核剤にはNA11,高分子にはポリプロピレンを用いた.異径のポールピースを用いて発生した勾配磁場下で試料を溶融,結晶化させた.得られた試料をX線により解析したところ,不完全ではあったが,磁場の分布に対応して高分子の結晶も傾斜配向していることが確認された.
|