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2003 年度 実績報告書

ナノ領域イメージングを用いた血管内皮細胞の焦点接着班の力学応答ダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 15086203
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 正明  東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111371)

研究分担者 坂元 尚哉  東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20361115)
大橋 俊朗  東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30270812)
キーワードバイオメカニクス / 内皮細胞 / 張力負荷 / せん断応力 / アクチンフィラメント / 焦点接着班 / 近接場光
研究概要

力学的刺激を受けた血管内皮細胞の形態変化の過程を明らかにするため,細胞骨格の1つであるアクチンフィラメントおよび焦点接着班の働きに着目して実験・解析を行った
1.シリコーン膜上への近接場光の形成システムの開発
倒立型光学顕微鏡に落射レーザ光照射システムを取り付け,特殊な対物レンズを用いてシリコーン膜上約100nmの領域に近接場光の存在を確認することができた。しかしながら,細胞底面における接着班の観察においては,厚さ約70μmのシリコーン膜を通しての観察のため明瞭性の点でさらに工夫が必要である。
2.力学的刺激負荷による細胞骨格および焦点接着班の応答解析
ウシ大動脈由来内皮細胞をシリコーン膜上に播種し,GFP-アクチン,RFP-FATのベクターを細胞内に導入して引張負荷実験を行った。ひずみ10%,1Hzでシリコーン膜を繰り返し伸張したところ,細胞自体は膜の伸びと直交する方向に配向し,アクチンフィラメント,FATも同様の配向を示した。これにより,シリコーン膜上で細胞の動的挙動を直接観察することが可能であることが示された。また,シリコーン膜上に不均一なひずみ場を形成したところ,同一細胞内でもひずみの大きい箇所でアクチンフィラメントの発達がみられ,かつ核の位置が低ひずみ側に偏っていることが観察された。
培養内皮細胞に流れによるせん断応力を負荷して,アクチンフィラメントが再配列し,同時に焦点接着班の配置も変化する現象を詳細に観察した。焦点接着班のスライド運動,伸張,出現・消失も明瞭に観察された。これらの結果から,流れの負荷に対して内皮細胞は,(1)デンスペリフェラルバンドの移動あるいは消失,(2)焦点接着班の移動,出現・消失,(3)葉状仮足の形成,(4)焦点接着班の回転と細胞の伸張,(5)ストレスファイバの形成,の過程を経て形態変化を起こしていることが推察された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 佐藤正明: "培養動脈組織片の初期ひずみ状態が内皮細胞の形態および細胞骨格構造に及ぼす影響"日本機械学会論文集(A編). 69・677. 30-36 (2003)

  • [文献書誌] 大橋俊朗: "流れ刺激を受ける内皮細胞内骨格構造の実時間挙動観察"日本バイオレオロジー学会誌. 17・1. 24-28 (2003)

  • [文献書誌] T.Ohashi: "Oxygen tension modulates Ca^<2+> response to flow stimulus in endothelial cells exposed to hydrostatic pressure"Technology and Health Care. 11. 263-274 (2003)

  • [文献書誌] 大橋俊朗: "力学的刺激に対する血管内皮細胞の応答現象"生物物理. 43・3. 136-141 (2003)

  • [文献書誌] Y.Sugaya: "Elongation and random orientation of bovine endothelial cells in response tohydrostatic pressure : comparison with response to shear stress"JSME Int.J., Ser.C. 46・4. 1248-1255 (2003)

  • [文献書誌] 長山和亮: "細胞の力学特性計測のためのレーザ顕微鏡組込み型原子間力顕微鏡(AFM)システムの開発"日本機会学会論文集,C編. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] 佐藤正明: "構造工学ハンドブック(13章1・2 細胞構造)"丸善. 1070 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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