研究課題/領域番号 |
15086204
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 隆美 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30101843)
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研究分担者 |
坪田 健一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10344045)
和田 成生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70240546)
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キーワード | 生物・生体工学 / ハイパフォーマンスコンピューティング / 流体 / 循環器・高血圧 / 計算生体力学 |
研究概要 |
先進工業国において国民死因の極めて大きな部分を占める心臓および脳血管病の発症と進展メカニズムには、共通して粥状動脈硬化症の存在があることは周知である。粥状動脈硬化症は、とくに、その前駆的変化ならび初期病変に極めて明瞭な局所性が観察されており、その原因の一つは血流のもたらす力学的影響と血管壁の生物学的反応の相互作用にあると考えられている。本研究では、このような力学-生物学的相互作用の解明を計算生体力学の手法で推進することを目的とする。 このためには、血液、血管、血流など、生物学的存在ないし現象を適切にモデル化し、これを計算力学の手法で解析する必要がある。特に、血液は、流体である血漿と、変形しやすい固体である血球成分からなる複雑な流れであり、従来の計算流体力学の手法では解析が難しい問題が多い。そこで、本研究では血流の数値モデル化においては、従来の連続体力学にもとづく方法に替わり得る新しい方法として、いわゆる粒子法の開発と応用を試みている。本法によれば血液の多相性あるいは血漿と血球の相互作用などをモデリングできる。これまで、比較的低レイノルズ数の領域における血漿流れの2次元モデル問題と、この中に、複数の赤血球および血小板の存在を仮定するモデルが開発でき、血沈あるいは血栓形成過程の解析が可能となった。 また、粥状動脈硬化症をもたらすと考えられている、血流と血管壁の力学的相互作用を解明するための、流体-固体連成計算手法の導入を図っている。流体側にニュートン粘性流体、血管壁に圧肉線形弾性体近似を導入することにより比較的現実的な血管モデルにおける壁振動(圧脈波)と流体運動(流れ)との相互作用が解析できるようになった。この結果、圧脈波による血管壁物性の評価の限界があきらかになった。 今後、これらの開発された手法を現実的問題に適用し、血管内の流れと各種血管病の病因、進展機構などとの関連を検討する。
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