研究課題/領域番号 |
15086207
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
曽我部 正博 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10093428)
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研究分担者 |
辰巳 仁史 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20171720)
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キーワード | SAチャネル / インテグリン / メカノトランスダクション / 機械センサー / 細胞膜 / 細胞骨格 |
研究概要 |
あらゆる細胞は、機械刺激を受容して様々な応答を示す。この性質は、細胞容積の調節、細胞分裂周期の調節、細胞形態・運動の調節、重力感知、あるいは心肥大、不整脈、組織再生などの重要な生命現象に関わる重要な機能である。その中心となるのは、近年明らかになってきた機械受容(SA)チャネルやインテグリンなどの機械センサー分子であるが、機械刺激がどのようにしてこれらを活性化するのかという仕組み(活性化機構)はまったく謎である。本研究の目標は、1)これらの機械センサー分子の活性化機構を細胞膜や細胞骨格などのマイクロスケールの構造との相互作用に注目して明らかにするとともに、2)機械センサー活性化の下流にあるシグナル機構を解析し、機械刺激の受容から応答に至る主経路の同定を行うことである。本年度は、立体構造既知の細菌SAチャネル(MscS)の機械刺激感知ドメインの同定と細胞骨格/接着斑の機械センサーとしての可能性を探ることを主目的にした。その結果、1)細菌SAチャネルMscSの機械刺激感知ドメインは、細胞膜外葉と内葉の油水界面近くに位置する疎水アミノ酸残基であることが判明した。これは昨年同定したMscLと共通する結果であり、脂質グリセロール基と疎水アミノ酸との相互作用が力伝達の共通機構であることが示唆された。2)内皮細胞のストレス線維を対象に、伸展-弛緩のいずれがストレス線維の脱重合に重要かを検討した結果、弛緩時に細胞内に豊富に存在するコフィリンが結合して脱重合することが判明した。すなわち、細胞骨格であるストレス線維そのものがメカノセンサーとして機能する強い証拠が得られた。
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