研究課題/領域番号 |
15086214
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
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研究分担者 |
池田 満里子 慶應義塾大学, 名誉教授 (00051368)
工藤 奨 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (70306926)
須藤 亮 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究助手 (20407141)
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キーワード | 肝細胞 / 毛細胆管 / バイオメカニクス / 再生医療 / バイオ人工肝臓 / 毛細血管ネットワーク / 血管新生 / 内皮細胞 |
研究概要 |
特定研究の最終年度である18年度では、3次元小型肝細胞コロニーを機能を持つ集合体にするため、毛細胆管と胆管との連結、さらに毛細血管網の共存を実現すべく検討を行った。胆管形成に関しては、胆管上皮細胞の分離とその管腔構造の再構築を行った。その際の分化誘導が大きな課題となり、管腔構造が発現するための分化誘導に関してリアルタイムPCRにより分析した。胆管上皮細胞を分離して体外で胆管様構造を形成することに成功した。この胆管様構造は、数10μmの径を持ち、体外で形成された管腔構造としては極めて大きなもので、肝臓再生に一歩近づいたと考えている。さらに、毛細血管ネットワークを形成させるため、血管内皮細胞の共培養の可能性に関して基礎的な実験を試みた。まず血管内皮細胞を基に、毛細血管ネットワーク形成の環境要因に関して検討を行った。特に、コラーゲンゲルの力学的性質が毛細血管ネットワークに大きな影響を与えることが明らかになった。さらに低酸素環境など、毛細血管ネットワーク形成のバイオメカニカルな要因が明らかになった。そして肝臓の毛細血管である類洞内皮細胞の分離培養の手法を開発し、分離された類洞内皮細胞を3次元小型肝細胞コロニーに分布させる方法を開発した。興味深い点は、単独では増殖が困難であった類洞内皮細胞は、小型肝細胞との共存により、極めて顕著な機能促進効果を示した。そこには、伊東細胞の関与があることが明らかになり、肝臓を構成する細胞は、相補的に協調して機能を果たしていることが分かった。
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