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2003 年度 実績報告書

分子磁性体における双安定性の構築とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 15087103
研究機関名古屋大学

研究代表者

阿波賀 邦夫  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10202772)

研究分担者 岡本 博  東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (40201991)
渡辺 芳人  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10201245)
藤田 渉  物質科学国際研究センター, 助手 (50292719)
岩坂 正和  東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90243922)
キーワード双安定性 / 分子磁性体 / ナノ磁石 / 光誘起相転移
研究概要

磁性素材とは無縁のものと思われていた有機物質に強磁性的性質を付加しようとする分子磁性研究が、我が国で独創的な進歩を遂げた。このような静的な強磁性を追い求めた研究が一段落した今、分子磁性体の最大の特異である動的特性を突詰め、次世代の分子メモリーやスイッチへの展開を模索すべき段階に到達している。
環状チオアミルラジカルの磁性と構造、光物性を検討した。これまでの研究により、TTTAと呼ばれる議導体が、常磁性高温相と反磁性低温相の間で相転移し、しかも室温を含む大きなヒステリシスループをもつことを既に報告している。室温で両相を安定に単離することができ、磁気的双安定性をもつ。本研究では、470nmのパルスレーザー光照射によって、室温で低温相から高温相への相転移が誘起されることを見出した。このような光誘起相転移は、遷移金属錯体などにおいて観測例はあるものの、TTTAのような有機ラジカル結晶で見出されたのはこれが初めてである。
ナノスケールの物質開拓が盛んに行われている。強磁性体の場合、その性質は磁性体の形状に著しく依存することが知られており、したがって、サブミクロンスケールで磁性体の形状を制御する研究が、基礎としても応用としても大変重要である。
硝酸銅水溶液を尿素で塩基性にすることによって、ポリスチレンビーズの表面を、塩基性炭酸銅で均一にコートできることが報告されている。本研究では、この手法を用いることによりナノ球穀磁性体を合成した。中心金属としてコバルトを選び、塩基性炭酸コバルトを均一沈殿させた。これを水素気流下でか焼することによって、直径500 nm、厚み40 nm程度のナノ球殻形状のコバルト金属磁石をつくることができた。粉末X線回折を測定したところ、fcc相であることが分かった。得られた試料は室温で強磁性を示し、その温度以下で磁化曲線の温度変化はほとんどなかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] T.Goto, T.Koshiba, T.Kubo, K.Awaga: "Transverse and longitudinal relaxations of Mn-55 in the molecular cluster magnet Mn_<12>O_<12>(CH_3COO)_<16>(H_2O)_4"Phys.Rev.B. 67. 104408 (2003)

  • [文献書誌] Y.Suzuki, K.Takeda, K.Awaga: "Enhancement of Jahn-Teller isomerism in Mn12Ac under high quasi-hydrostatic pressure"Phys.Rev.B. 67. 132402 (2003)

  • [文献書誌] H.Matsuzaki, W.Fujita, K.Awaea, H.Okamoto: "Photoinduced phase transition in an organic radical crystal with room-temperature optical and magnetic bistability"Phys.Rev.Lett. 91. 017403 (2003)

  • [文献書誌] M.Fujimori, Y.Suzuki, H.Yoshikawa, K.Awaga: "Packing Motifs in Porphyrazine Macrocycles Carrying Peripherally-Annulated Thiadiazole Rings : Crystal Growths of Metal-Free and Cobalt Tetrakis(1,2,5-thiadiazole)porphyrazines"Angew.Chem.Int.Ed.. 42. 5780-5786 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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