研究概要 |
大気中/酸化雰囲気中でも極めて安定であり、原子レベル超平坦表面も作製出来、かつ完全スピン偏極を示すことから高いスピン注入効率が期待される酸化物強磁性ナノギャップ電極を作製しDNA/ナノ粒子複合体、更に有機半導体材料に適用した。 (1)これまでに提案してきた強磁性電極用酸化物(Fe_<3-x>Mn_x)O_4(FMO)に対し、(Fe_<2.5>Mn_<0.5>)O_4/Nb:SrTiO_3強磁性ショットキー接合を作製しスピン分極率の評価をおこなった。レーザアブレーション法により,Nb(0.5wt.%):SrTiO_3(100)単結晶基板上に膜厚50nmのFMO薄膜を成長させた。逆バイアスの飽和電流の磁場依存性により分極率を求め、FMOについて0.82(at100K)と高い分極率が得られた。 (2)Moナノマスク-AFMリソグラフィー法による(Fe,Mn)_3O_4ナノギャップ電極の作製 如何なる種類の金属酸化物でも普遍的に細いチャネル幅作製を可能とするナノパターンMoマスクを用いた加工法を提案・確立し、FMOナノギャップ電極を作製した。ギャップ幅60nm、リーク電流<20fA、耐電圧1MV/cmの良好な強磁性酸化物ナノギャップ電極の形成に成功した。 (3)酸化物上への有機半導体薄膜の作製 酸化物ナノギャップ電極中に展開する材料としてDNA-ナノ粒子複合体を作製してきたが、今回、より導電性が得やすい物質として有機半導体材料である銅フタロシアニン(Cu-Pc)薄膜の作製を行った。銅フタロシアニンは熱蒸着法(K-cell温度450℃、基板温度100℃)により作製した。ペロブスカイトNb-ドープSrTiO_3(001)酸化物基板上にa-軸配向したCu-Pc薄膜を得ることが出来た。
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