研究課題
スイッチングユニットをオリゴマーの中央に配置し、外側にスイッチ部分をつなげる設計をとった新しいON-OFF逆転系の分子について検討を行った。これらの分子では、開環体では共役がつながっているためにラジカル間の磁気的相互作用の強いON状態を取っているが、閉環することにより共役がsp^3炭素により切れ、相互作用の弱いOFF状態を取ることが期待される。合成した分子の光反応性について調べたところ、これらの光反応性は分子構造によって顕著な違いを示すことが明らかとなった。2つのニトロニルニトロキシドを両端のベンゼン環のパラ位で置換したものでは、紫外光照射時の変換率が非常に低かったのに対してベンゼン環のメタ位に置換したものでは58%であった。反応点のメチル基をメトキシ基で置き換えたものでは変換率は82%まで向上した。これは、メトキシ置換することで、開環反応の量子収率が抑えられたために変換率が高くなったためと考えられる。フォトクロミック反応に伴うESRスペクトル変化を測定した。開環体では2つのイミノニトロキシド間に超微細構造定数より大きい交換相互作用が観測されたのに対して、閉環体ではsp^3炭素によってπ共役が切断されているために、交換相互作用は観測されずに、孤立した2つのイミノニトロキシドのESRスペクトルを示した。線形のシミュレーションから見積もったスイッチング効率は150倍以上であった。
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