研究課題/領域番号 |
15087206
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内海 英雄 九州大学, 大学院薬学研究院, 教授 (20101694)
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研究分担者 |
竹下 啓蔵 崇城大学, 薬学部, 教授 (70175438)
市川 和洋 九州大学, 大学院薬学研究院, 助教授 (10271115)
山田 健一 九州大学, 大学院薬学研究院, 助教授 (60346806)
安川 圭司 九州大学, 大学院薬学研究院, 助手 (80372738)
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キーワード | 活性酸素 / フリーラジカル / レドックス / 電子スピン共鳴 / 生活習慣病 / 潰瘍性大腸炎 / MRI / 一酸化窒素 |
研究概要 |
生活習慣病等、多くの疾患の成因・進展に活性酸素やフリーラジカルが関与することが明らかにされつつある。酸化ストレス性疾患を分子レベルで解明し、その治療薬を開発する上で、フリーラジカル動態の無侵襲解析は不可欠である。 昨年度までに、生体計測ESRあるいはESRIとスピンプローブを併用することで、フリーラジカル動態の解析を進めてきた。また、フリーラジカル画像化装置OMRIと異核種(^<14>N,^<15>N)のプローブを用いて、細胞内外のレドックス画像化システムを開発し、大腸炎や胃潰瘍などの病態解析に応用できることを示した。 しかし、既存のOMRI装置ではMRI磁場が0.015Tと非常に低いため、感度・分解能共に悪く、正確な意味での解剖学的情報を得られなかったことから、本年度は、0.4Tの試料搬送型OMRIシステムを開発した。擬似試料を用いて性能評価を実施し、ニトロキシルラジカルを充填した円筒(内径2.0mm、肉厚0.35mm)の輪郭や矩形容器の角が明瞭で、均一な画像が得られた。 また、昨年度に引き続いてOMRI同時分離画像化法を疾患モデルの病態解析に応用した。デキストラン硫酸ナトリウム惹起大腸炎マウスに誘導型NO合成酵素(iNos)阻害剤を前処置したところ、発症から軽度の進行段階での膜透過性プローブ減衰速度の充進は顕著に抑制されたのに対して、さらに増悪した段階では影響を及ぼさなかった。また、病態の進行も抑制された。一方、非特異的NOS阻害剤では発症・進展のいずれにおいても、減衰速度の亢進および病態の進行に対して抑制効果を示さなかった。以上より、大腸炎の発症段階でiNosよりNOが生成し、大腸炎の発症・進展に関与することを示した。インドメタシン惹起胃潰瘍モデルや移植ガンモデルについても同様に、活性酸素・フリーラジカル生成反応の時間経過や部位が異なることを画像で示すことができた。
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