研究課題/領域番号 |
15087212
|
研究機関 | 財団法人山形県企業振興公社・生物ラジカル研究所 |
研究代表者 |
大矢 博昭 財団法人山形県産業技術振興機構, 生物ラジカル研究所, 副所長 (00025389)
|
研究分担者 |
尾形 健明 山県大学, 工学部, 教授 (50091830)
吉村 哲彦 財団法人山形県産業技術振興機構, 生物ラジカル研究所, 副所長 (70271517)
|
キーワード | in vivo ESR / 携帯型 / VCO / ダブルヘルムホルツコイル / フリーラジカル / ストレス応答 / 一酸化窒素(NO) / リポ多糖(LPS) |
研究概要 |
1)植物用携帯型ESR装置の開発研究 動植物のストレス応答における生体スピン生成消滅機構を研究するためにフリーラジカルや活性酸素を無浸襲且つその場で計測する携帯型ESR装置の開発を開始した。本年度は、当該装置を小型化するために発振器部分に放熱機構などを必要としないVCOを用いて、周波数制御をシングルループで行なえる発振器の開発を行なった。ESR装置を構成する外部磁場発生装置にダブルヘルムホルツコイルを用いた電磁石を開発した。これにより、静磁場の均一性があがり、従来の小型ESR装置の永久磁石型外部磁場発生装置に比べて、30%のESR信号強度の増大を得ることが確認できた。他方、in vivo ESR法による植物のストレス耐性能評価を目標に、植物葉に種々のストレスを負荷したときの投与スピンプローブ剤の挙動を求め、植物のストレス応答特性を検討した。植物試料としてカイワレダイコンを用い、二酸化窒素、二酸化硫黄、オゾン、炭酸ガスなどの気体暴露系、強光照射系、冷却ストレス系などで、投与スピンプローブ剤の挙動を追跡した結果、二酸化窒素およびオゾンの気体暴露系、冷却系で、植物体内が顕著に酸化的雰囲気になることを見出した。これは、ストレス負荷で活性酸素の発生を示唆している。また、光照射と組み合わせた測定の結果、大気汚染による光の影響について興味ある知見が得られた。 2)各種のストレスに応答して変動する生体内一酸化窒素(NO)のin vivo評価 一酸化窒素合成酵素(NOS)由来およびNOSに由来しないNOが胃粘膜の保護または障害に関与している。本研究では、ラットを用いてNOS由来および由来しないNOの胃内での作用を、主としてジチオカルバメート鉄錯体をNOトラップ試薬とするESRスピントラップ法でNO濃度を評価することを目的とする。今年度はNOS由来NO産生因子としてヘリコバクター・ピロリ菌リポ多糖(LPS)を選定し、同LPSの対照としての大腸菌LPSによる胃粘膜細胞中の誘導型NO合成酵素(iNOS)によるNO産生を詳細に検討した。その結果、ラット胃内のiNOS由来NOはLPS投与6〜8時間後に最高濃度となり、その後漸減することおよびiNOSの酵素活性にはLPSによって共誘導される別の酵素の産物が強く関わっていることが明らかとなった。今後、精製法が確立されたピロリ菌LPSを用いた研究およびNOSに由来しない胃内NOの研究を進める予定である。
|