研究課題/領域番号 |
15087212
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研究機関 | (財)山形県産業技術振興機構 |
研究代表者 |
吉村 哲彦 (財)山形県産業技術振興機構, 研究開発部, 部長 (70271517)
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研究分担者 |
尾形 健明 山形大学, 工学部, 教授 (50091830)
横山 秀克 産業技術総合研究所, 主任研究員 (10281619)
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キーワード | ESR / 一酸化窒素(NO) / ジニトロシルジチオラト鉄錯体 / 食道・胃接合部 / in vivo / サクラマス魚卵 / ストレス / 酸化還元状態 |
研究概要 |
1.食道・胃接合部で産生される硝酸塩由来の一酸化窒素(NO)に関する研究 硝酸塩を含む野菜などを摂取すると、小腸で吸収された硝酸塩は唾液中に分泌され、口腔内細菌によって亜硝酸塩に還元される。亜硝酸塩は、食道・胃接合部の強酸性雰囲気とアスコルビン酸によってさらに還元されNOに変換される。本研究ではこのNOの胃粘膜に対する作用を解明するために、亜硝酸塩をラット胃内に投与し、主としてESR法により検討した。その結果、(1)食道・胃接合部組織において高濃度のNOが検出された。またNOは組織中の重要な抗酸化剤であるグルタチオンを限局性に消費した。(2)食道・胃接合部組織のESRスペクトルにはジニトロシルジチオラト鉄錯体に起因するシグナルが検出された。同錯体は細胞内のアコニターゼ等の鉄-イオウタンパク質との反応によって生成されると考えられる。本結果は高濃度NOが食道・胃接合部の組織障害に関与することを示唆している。 2.ストレス負荷植物および魚卵のレドックス状態計測 携帯可搬700MHzESR装置(前年度試作)は総重量50kg以下であり、フィールドでの計測が可能である。本装置には、通常の1対の電磁石からなる磁気回路部と磁石一個からなる聴診器様プローブヘッドの2つのタイプがある。これらを用いて、生体試料に種々のストレスを負荷し、生体内レドックス状態変化をin vivoで追跡した。携帯可搬という特徴を生かし、生態系内における植物および飼育現場でのサクラマス受精卵について、投与したスピンプローブ剤の動的変化を観測した。また、実験室据置型ESR-CTシステムを用い、スピンプローブ剤の動的変化をin vivo計測することで、オゾンストレス負荷時における植物のレドックス状態変化を追跡し、ストレス応答機構の解明を試みたところ、カルシウムイオンがシグナル伝達に重要な働きをしていることがわかった。
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