研究課題/領域番号 |
15087212
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | (財)山形県産業技術振興機構 (2004-2006) 財団法人山形県企業振興公社・生物ラジカル研究所 (2003) |
研究代表者 |
吉村 哲彦 (財)山形県産業技術振興機構, 研究開発部, 部長 (70271517)
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研究分担者 |
緒形 健明 山形大学, 工学部, 教授 (50091830)
横山 秀克 (独)産業技術総合研究所, 主任研究員 (10281619)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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キーワード | 一酸化窒素(NO) / 一酸化窒素合成酵素(NOS) / リポ多糖(LPS) / ピロリ菌 / 硝酸塩 / 食道・胃接合部 / 胃粘膜 |
研究概要 |
一酸化窒素(NO)は分子内に1個の不対電子をもつフリーラジカルである。環境大気中のNOは大気汚染物質NOxの一つとして古くから生物に対する影響が懸念されてきた。ところが、1987年以来、NOは生体内でNO合成酵素(NOS)によってL-アルギニンを基質として産生され、恒常性の維持に重要な役割を果たすとともに様々な疾患の展開にも関与していることが明らかとなっている。すなわち生体内のNOは「両刃の剣」である。摂取された食物の消化に関わる胃においてもNOは2面性を持っている。胃内のNO産生系には、NOSに依存する系とともにNOSに依存しない系の2系統が存在することが知られている。「NOSに依存しない系」というのは食物中(特に野菜中)に含まれている硝酸塩が還元されてNOを生じる系である。本特定領域研究において我々は、(1)NOSに依存する胃内NO産生としてリポ多糖(グラム陰性菌の細胞壁成分、エンドトキシン;lipopolysaccharide, LPS)によるNOS発現系、(2)NOSに依存しない胃内NO産生として亜硝酸塩経口投与モデルを対象として研究し、胃におけるバイオスピンNOの2面性について検討し、以下の成績を得た。(1)NOは胃粘膜の恒常性維持に寄与する、(2)ピロリ菌感染由来NOは自然免疫に関係する、(3)食物中の硝酸塩に由来し、食道・胃接合部で産生された高濃度のNOは同部位での組織障害に関与する。このように胃内で二つの経路から産生されたNOは、胃の多様な機能の調節に関与するとともに胃粘膜障害にも関係している。本研究結果から、この2面性に影響するファクターの一つは、NOの局所における産生量/濃度ということが明らかとなった。
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