研究課題
プログラム細胞死実行因子カスパーゼは細胞死に必要なプロテアーゼであり、細胞死刺激により活性化され、様々な基質を切断することにより細胞死を実行する。ショウジョウバエを用いた遺伝学的な研究からカスパーゼ阻害蛋白質IAPレベルの調節に関与する新規キナーゼを同定した。さらに、,カスパーゼの生理機能を解析していく中でカスパーゼ活性が細胞死のみならず細胞分化をも調節していることが明らかになった。ショウジョウバエ末梢神経系の感覚器は、1個の神経系前駆細胞(SOP)が2回分裂し、1本の剛毛とそれに接続する神経組織を形成する。ところが、シヨウジョウバエカスパーゼ活性化因子Dapaf-1突然変異ショウジョウバエでは、その剛毛(macrochaete)の増加が観察された。さらに興味深いことに、この現象は細胞死の阻害による細胞数の増加に依存しないことが明らかとなり、カスパーゼが細胞分化に積極的に関与していることが示唆された。この基質の同定のために、カスパーゼを阻害した際の神経系細胞系譜の変化(剛毛の増加)を促進または抑圧するような染色体領域の探索(ドミナントモディファイアースクリーニング)を行った。スクリーニングの結果カスパーゼの基質が遺伝学的に同定された。ほ乳類GSK3βホモログであるShaggyはWinglessシグナルを介して剛毛の発生を制御している。そのアイソフォームSgg46がカスパーゼによって切断・活性化することにより、外感覚器前駆細胞の数の調節に関与することが示された。カスパーゼは基質特異性の高いエンドペプチダーゼであり、活性化の度合いによって細胞死以外のシグナルを伝える分子の活性調節を行うことで、様々な生理機能に関わることが考えられる。
すべて 2005
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