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2003 年度 実績報告書

幹細胞再生医療のための機能性足場とバイオリアクタの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15100009
研究機関京都大学

研究代表者

田畑 泰彦  京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)

研究分担者 山岡 哲二  京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50243126)
梅沢 明弘  国立生育医療センター, 部長 (70213486)
山本 雅哉  京都大学, 再生医科学研究所, 助手 (10332735)
キーワード機能性足場 / 幹細胞 / 増殖と分化 / バイオリアクタ / 生体吸収性高分子材料 / スポンジ / 不織布
研究概要

本研究の目的は、再生医療の実現に必要な幹細胞の増殖、分化を促すための医工学的な技術、方法論を研究開発することである。そのために、幹細胞の接着、増殖能の優れた機能性足場を創製するとともに、幹細胞の増殖促進するための細胞培養バイオリアクタを設計する。本年度は、繊維径の異なるポリエチレンテレフタレート(PET)繊維からなる不織布に対する幹細胞の増殖と分化について検討した。用いた幹細胞はラット骨髄より採取できる未分化間葉系幹細胞(MSC)である。2、4、12、22、および42μmの繊維径をもつPETからなる不織布へMSCを播種したところ、12μm以上の繊維径をもつPET不織布への細胞の初期接着と増殖は、他の繊維径をもつPET不織布に比較して、よいことがわかった。また、静置、振とう、および旋回培養によりMSCを培養した結果、旋回培養法が最も細胞の増殖効率のよいことがわかった。MSCの分化については、骨分化誘導培地にて細胞を培養、骨分化の程度を細胞内のアルカリホスホターゼ活性および細胞周辺のカルシウム沈着などの観点から評価した。その結果、付着MSCの骨分化はPET不織布の繊維径にほとんど影響をうけないことがわかった。次に、MSCの骨分化に対する静置、振とう、および旋回培養などの細胞増殖法の影響について調べた。その結果、増殖の悪かった静置培養法において、MSCの骨分化がよくなるという傾向があった。また、逆に、MSCの増殖のよかった旋回培養法においては、細胞の骨分化は、静置培養法に比べて、抑制されていた。以上の結果より、MSCの増殖、分化は、その培養基材の性質と培養方法によって影響されることがわかった。また、コラーゲンスポンジの1つの欠点である低い力学強度についての工学的な工夫を行った。生体吸収性のポリグリコール酸(PGA)の繊維を組み込んだコラーゲンスポンジ(PGAスポンジ)を作製した。このPGAスポンジは、通常のスポンジに比較して、圧縮弾性率は高くなった。細胞をスポンジに播種して、スポンジ内での増殖を調べたところ、PGAスポンジは、通常のスポンジとは違って、培養中でのスポンジ収縮は見られず、細胞の増殖も良好であった。以上のことより、PGA繊維を組み込むことで、コラーゲンの細胞親和性を損なうことなく、スポンジの力学特性を改善できることがわかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 田畑泰彦: "スキャホールド(Scaffold)"THE BONE. 17(1). 29-34 (2003)

  • [文献書誌] 平岡陽介, 萬代佳宣, 伊藤典一, 田畑泰彦: "生体組織再生用の足場材料の設計・作製"細胞. 35. 144-146 (2003)

  • [文献書誌] Hiraoka, Y., Kimura, Y., Ueda, H., Tabata, Y.: "Fabrication and biocompatibility of collagen sponge reinforced with poly (glycolic acid) fiber"Tissue Eng.. 9(6). 1101-1112 (2003)

  • [文献書誌] Takahashi, Y., Tabata, Y.: "Homogenous seeding of mesenchymal stem cells into nonwoven fabric for tissue engineering"Tissue Eng.. 9(5). 931-938 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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