研究課題
高い細胞親和性をもつコラーゲンからなるスポンジは、強度に乏しく、細胞の増殖とともに、スポンジが収縮、変形する。この問題点を解決するために、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を組み込み、力学補強を行った。コラーゲンスポンジ内にラット骨髄から採取した骨髄間葉系幹細胞を播種した。力学補強することによって、スポンジ内での細胞の増殖、骨分化の程度が高まることがわかった。培養液の流動のない静置培養法に比べて、培養液を流動させる振とう培養、旋回培養、およびperfusion培養の方が、細胞の増殖、分化が増強されることがわかった。旋回培養時の回転速度が細胞の増殖、分化に影響を与えた。回転数が低い場合には、スポンジ表面近傍の細胞のみが増殖した。この結果は静置培養と同様であった。高回転数においては、細胞増殖が速く、スポンジ表画に増殖細胞の壁が形成され、スポンジ中央部での細胞の増殖は認められなかった。中間の回転数の場合には、スポンジ表面と中央で良好な増殖が得られ、スポンジの中で、細胞は均一な分布で増殖することがわかった。骨分化に関しても、同様の回転数依存性が認められた。また、金蒸着を行ったPETフィルム表面へ片末端がCH3、OH、COOH、およびNH2基などのアルカンチオール混合物を反応させ、フィルム表面へ異なる化学官能基を種々の比率で導入固定した。OHとNH2基、およびOHとCOOH基との混合によってヒト脂肪由来未分化間葉系幹細胞の増殖は増加し、OHとCOOH基、およびOHとCH3基との混合によって細胞の脂肪分化が促進された。表面に固定化されたCOOH基を介して細胞接着活性をもつRGDSテトラペプチドを表面に化学固定した。RGDS固定化により、細胞の初期接着と増殖は高まった。アルカンチオールの置換反応を利用して、COOH基濃度のグラジエントを利用してPET表面に固定化RGDSのグラジエントを形成した。その結果、表面固定化RGDS濃度に対応した細胞の増殖が認められた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
J. Dermatology
Inflammation and Regeneration 26・3
ページ: 181-184
J Biomed Mater Res 78A
ページ: 335-342
Chemistry Letters 35・6
ページ: 564-565
Tissue Engineering 12・6
ページ: 1475-1487
Nature biotechnology 24
ページ: 1412-1419