研究課題
ガーナのベンチマーク集水域での水田開発は本研究のコンセプトを利用する、アフリカ開発銀行によるプロジェクトが2000万ドルの予算で4500haの新規開田を目標としてスタートした。本ベンチマーク集水域はモデル地区に選定されたため水田開発面積は前年の7haから30haに急拡大し、参加農民グループも20グループになった。従い、これまでのように科研費を使用しての実際の水田開発支援活動は最小限に留め、上記アフリカ開発銀行プロジェクトの実施を支援するため、以下のような研究活動に重点を移した。即ち、(1)ベンチマーク集水域のサブ集水域の水文と水質調査、(2)アジアの代表的な集水域と比較しながら土壌生成と侵食のバランスを調査し低地水田土壌生成速度を見積もり、水田開発面積の上限値を推定する、(3)泉利用、堰やポンプ利用、洪水制御、天水、アップランド的な低地等、水田開発方式ごとの小低地の分類と、その相対的な分布面積調査、(4)アフリカに適した水田システムにおける土と水管理技術の開発や水田ベースの農業システムの開発研究、(5)集水域アグロフォレストリーに関する基礎調査等であるナイジェリアのベンチマーク集水域では同じく本研究のコンセプトに基づいてJICA(国際協力機構)支援の水田の造成と農業技術の研修プログラムがWIN/IITA/NCRIと共同して、本ベンチマークサイトで実施された。この研修にはナイジェリア農業省の担当官、大統領直轄稲作プロジェクトの関係者も参加し高い評価を受けた。これを受けてJICA支援の本格的な水田農業振興プロジェクトが2006年度より開始されることが内定した。本プロジェクトによる水田開発面積は20haに拡大したが、今後は、ガーナと同様、本科研のアクションリサーチのうちの研究活動に重点を移す。さらに、国際機関のアフリカ稲作センター(WARDA)の研究の外部評価委員として、サブサハラアフリカ全体の持続可能な稲作振興戦略の基本となるように、本研究のコンセプトを提案した。
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