研究課題
タンパク質、DNA、細胞を単一分子レベルの解像度で映像化し、さらに人工的に操作することができる原子間力顕微鏡を使用して単一生細胞を対象とした手術操作法を開発することが目的である。この目的を達成するためには、生体高分子や細胞を原子間力顕微鏡の探針で力学的に操作する際に印加する力と、試料の変形や破壊について調べ、その結果に基づいて生細胞からの機能分子採取と同定、細胞内への機能分子注入実験を行っている。世界的に先端レベルにある研究実績として、1)単一タンパク質分子の機械的強度をナノレベルでの圧入試験により精密に測定し、その結果をTataraモデルにより解析し、従来の報告より1桁以上小さい、約100メガパスカルというヤング率を得た。2)細胞膜からのタンパク質採取および同定法を確立し、膜貫通型のタンパク質を引き抜くには200ないし500ピコニュートンという力を要することを示し、その同定法を開発した。3)人工膜および細胞膜を対象として原子間力顕微鏡の探針により膜を破壊するに要する力を測定し、脂質膜はおよそ5-10ナノニュートンの力を印加することにより穿孔されることを示した。4)上記の大きさの圧力を生細胞に加えることによって原子間力顕微鏡探針を細胞内に挿入後、探針を改修して付着している分子の中で増幅が可能なRNAについてRT-PCR法によって増幅したDNAとして同定する方法を確立した。この方法により、単一細胞の1平方μm程度の局所から経時的にmRNAを採取して同定する方法を開発した。毎回の探針挿入において、常時発現されているベータアクチンmRNAを基準として5-10種類のmRNAを同時に同定する方法を開発している。5)リポソームおよび生細胞に原子間力顕微鏡の探針を使用して穴を開ける方法を開発している。この際に使用する探針はいろいろな試薬および酵素によって修飾したものを用いている。
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